ペンギンオヤジの舌癌闘病と母の介護

舌癌ステージ3の闘病と母の介護についての記録

【闘病記019】発語のリハビリ(言葉を取り戻す!)

 

吹き出しのイメージ画像

カメラ兄さんさんによる写真ACからの写真

 

今回は手術後の「話すこと」についての話しです。

手術後の舌の状態や「話す」ためのリハビリ、それに少し不自由になってしまった自分の体についての心の持ち方などをまとめました。

 

手術後の舌の状態

舌を出しているイラスト

K-factoryさんによるイラストACからのイラスト

 

手術で舌の2/3を切除して、失われた部分は右太ももの筋肉を使って再建してもらいました。

 

しかし、新たに再建された舌には神経が通っていません。残った1/3の舌の力を使って再建された2/3の舌を動かすのです。

 

当然のことながら、以前のように舌は動いてくれません。

 

そこで問題になるのが「話すこと」と「食べること」です。

 

話すためのリハビリ

カタカナ表の写真

紺色らいおんさんによる写真ACからの写真

 

手術から1週間は気管切開した穴が閉じられていなかったので、声も出なくて看護師さんやドクター、見舞いにきた弟とは身振り手振りのジェスチャーか筆談でコミュニケーションをとっていました。

 

その後、自分の声が出せるような処置をされて曲がりなりにも話すことができるようになりました。

 

「話すことができるようになった」といっても、以前と同じように話せるようになったわけではありません。

 

言葉によっては、たどたどしい発声になってしまい何を言っているのかよく分からないような状態でした。

 

特に「い・き・し・ち・に」の「い」の段はまともに言葉を発することができず、相手にも聞き取ってもらえませんでした。

 

手術から8日目。この日から専門の先生(言語聴覚士)がついてくれて発語のリハビリが始まりました。

 

《リハビリの主な内容》

  • 口まわりのマッサージ
  • 首回りと肩のマッサージ
  • 発語の練習
  • 水を飲み込む練習

右頸部のリンパ節に転移した腫瘍の切除と手術中の気道確保のために喉の切開もしたので、首回りの筋肉がダメージを受けていて、凝り固まっているよう感じになっていました。

 

筋肉が凝り固まっていると、うまく口も開かないし飲み込み(嚥下)もうまくできません。

 

首を動かして筋肉をほぐすことで飲み込みもしやすくなる効果があるそうです。

 

そのために毎回、リハビリの最初に先生が口のまわりや肩まわりの筋肉をほぐすためのマッサージをしてくれました。

 

発語については専門のテキストからその日の私の状態などを見ながら先生が適宜「では、これを声を出して読んでください」というような感じでリハビリが行われました。

 

しかし、日によっては舌が上顎とかに貼り付いたような感じになってしまい、うまく言葉を出すことができないことも少なくありませんでした。

 

それに新しい舌に慣れていないせいか、突如として吐き気に襲われることも多々ありました。

 

リハビリのポイント

アイデアを思いついたイメージ

bBearさんによる写真ACからの写真

 

うまく言葉が話せないときに私なりに気をつけていたことが2点あります。

 

(1)腹式呼吸で声を出す

(2)なるべくゆっくり話す

腹式呼吸で話す

どういう理屈か分かりませんが、声を出すときに腹式呼吸を意識した方が少しはちゃんと発声できることに気が付きました。

 

リハビリでもなるべく腹式呼吸を意識しながら声を出すようにした方が、先生からも褒められることが多かったように思います。

 

なるべくゆっくり話す

私は元々、すっごい早口です。時々まわりから「早くて何言ってるか分かんねぇよ」と言われるくらいだったのです。

 

手術をして、ちゃんと話せなくなってからも早口のクセは残っていて、無意識のうちに早く話そうとしていました。

 

当然、ちゃんと話せるわけありません。だから意識的に以前の1/2くらいのペースで言葉を話すよう意識するようにしました。

 

それから言語聴覚士の先生や主治医から何度も繰り返し言われたのは、とにかく喋ることが何よりも大切!ということです。

 

話しをして舌をよく動かすことがポイントらしいです。

 

特に男性は「うまく話せない」「恥ずかしい」という気持ちからあまり話さなくなってしまう人が多く、そうするとますます話せなくなるという悪循環にハマってしまうそうです。

 

それに対して女性、それもお話し好きの人はよく話す分、回復も早いと聞きました。

 

話が通じないとき

ノートの写真

sayokoさんによる写真ACからの写真

 

ある日のこと。見舞いに来てくれた弟に「血液検査の結果が・・・」と話したら、聞き取ってもらえず何度も何度も聞き返されました。 (最終的には筆談で伝えました)

 

やはり、リハビリを繰り返してもうまく話せずに何度も聞き返されることが多かったのです。

 

言葉が通じない時の対策としては以下の2つの方法をとるようにしています。

 

(1)メモ帳を持ち歩く

(2)言葉を言い換える

メモ帳を持ち歩く

そのため、退院してからもしばらくの間、外出するときには小さなメモ帳を持ち歩いていました。

 

どうしてもダメなときに筆談するためです。

 

余談になりますが、要件をメモに書いて相手に見せると半数以上の方が返事を紙に書いてくれることに気が付きました。

 

筆談する人というのは「話す」と「聞く」の両方に障がいがあると思われるようです。

 

そのため、メモ帳を見せるようなときには「耳は大丈夫です」と書き加えてから見せるようにしました。

 

言葉を言い換える

言葉を言い換えるのも有効な手段だと思います。

 

例えば「7時(しちじ)」を「七時(ななじ)」に言い換える。

 

「天気」が通じなければ、「明日は雨降る」と言葉を変えてみたりします。

 

ただ・・・どうしても言い換えができないものもあります。

 

私、本名は「木村」といいます。だけど、上の方で書いたように「い」段の「き」がどうしても言えません。。

 

だから電話などで名乗る時にはほぼ100%聞き返されます。

 

これだけは今のところどうしようもなく、何度も繰り返すか「かきくけこ」の「き」と言ったりしてます。

 

これは私の新しい個性

夕日と少年の写真

みっく_Nさんによる写真ACからの写真

 

うまく言葉が話せないというのは、アメリカ人相手につたない英語で話しかけて何度も聞き返されるようなものです。

 

ともすると、それはコンプレックスになってしまいます。

 

だけど私は「これは私の新しい個性だ」と思うようにしています。

 

例えば家の電話では「もしもし」が言えず「もひもひ」となってしまいます。

 

一度でも私と会話をしたことのある人なら、この「もひもひ」で一発で私だと分かってくれます。これはもう個性でしょ。

 

いまも毎日、家で「あ・え・い・う・え・お・あ・お」と声を出す練習は欠かさないようにしています。

 

それでも!もう、すっかり以前と同じように話すことはできないと思っています。

 

変えられないことを嘆いていても仕方ありません。

 

これも、きっと何か意味があるのだろうし神さまから与えられた試練なのかもしれません。

 

今の自分をまるごと受け止めて、前向きに頑張っていくしかないのです。

 

それに確かに不便なこともありますが、意外と何とかなるものですよ。